さがみはらサッカーフェスタ2010

2010/02/01

政令指定都市移行を記念して開催された「さがみはらサッカーフェスタ2010」が1月31日、麻溝公園競技場で行われた。メインイベントである「S.C.相模原対JAPANドリームチーム」の一戦を見ようと、予想を大きく上回る7800人の観客がスタジアムに詰め掛けた。

S.C.相模原にとっても2010年の初戦であり、新戦力もスタメンに名を連ねた。GKは榎本貴久、センターバックは栃木SCから新加入した工藤祐生と、奥山雅之が並んだ。両サイドバックは、右を水野和樹、左を大山裕彰が担った。中盤の中央は不動の坂井洋平、鈴木健太の2人。左サイドMFを吉岡航平、右サイドMFを工藤と同じく新戦力の富井英司が抜擢された。2トップは、昨シーズンからコンビを組む齋藤将基と森谷佳祐という構成で、S.C.相模原はドリームチームとの試合に臨んだ。

ドリームチームはシンプルな4-4-2システムを採用。ゴールマウスは掛川誠、DFは右から名良橋晃、三木隆司、小村徳男、中西永輔が並んだ。中盤は、中央を名波浩、山口素弘、両サイドを藤田俊哉、平野孝が務め、流動的なポジションチェンジを見せた。2トップは、松原良香と今シーズン、S.C.相模原へ入団する船越優蔵が務めた。

キックオフとともにS.C.相模原が攻め込んでいった。開始早々、新戦力の富井がミドルシュートを放ち積極性を見せる。3分には左サイドから攻撃を組み立てと、吉岡がドリブルでゴール前に侵入。DFを引きつけると中にいる森谷へパス。森谷は平野の早い寄せに遭い、打てなかったが、こぼれ球を吉岡がシュート。右足でコースを狙ったが、その軌道はゴール上を越えていった。

S.C.相模原は両サイドから早めにクロスを入れることでドリームチームからゴールを奪おうとした。6分には、中央から大きく展開されたボールを受けた水野からの鋭いクロスに、森谷が飛び込む。10分にも左SB大山からのクロスに齋藤が合わせるが、DFとGK掛川のセーブに阻まれた。

試合立ち上がりは攻め込まれていたドリームチームも20分に魅せる。中盤をパスで突破すると、藤田がバウンドするボールをうまく処理しながらゴール前へ。DFを引きつけると、中央でフリーになっている名波へ。そして、名波はダイレクトでループシュート。バーぎりぎりへ飛んだシュートは先制点かと思われたが、GK榎本が懸命にジャンプして掻きだした。

S.C.相模原はボールを保持し、試合を進めていたが、それは経験で優るドリームチームの策でもあった。前半出場していた現役選手は、藤田、平野、三木、船越の4人のみ。体力的に厳しいドリームチームは、S.C.相模原にボールを持たせ、危険なゾーンに侵入されたときにしっかりと対応することでペース配分していた。S.C.相模原は、ボールをポゼッションできるチャンスを、ゴールにつなげることはできなかった。この一戦は、エキシビジョンマッチではあるが、ドリームチームの対応はいい経験になったであろう。持たされたときにどう得点を奪うか。県リーグでは形成は逆転するため、こういった状況は滅多に経験できない。今後、上のカテゴリーの相手と戦うときに、ドリームチームとの試合で培った教訓は生きるはずだ。

後半、S.C.相模原は、GK佐藤健、MF野村直幸、MF鈴木隼人、MF永田一真が交代で出場。ドリームチームは船越と鈴木隆行、名良橋と戸田和幸、山口素と山口貴之、藤田と前園真聖が交代してピッチに登場した。

後半はS.C.相模原のリズムに慣れたドリームチームが相手陣内に攻め込んでいく。43分には鈴木が個人技で魅せる。右サイドからドリブルでペナルティーエリア内に侵入すると、フェイントで切り返しDFを抜くとシュート。44分にも右CKから松原がヘディングシュートを狙った。

53分には、工藤に代わって前半はテレビ解説を務めていた秋葉がピッチに立つ。その直後の55分、ドリームチームは前園のスルーパスから松原がゴールネットを揺らす。しかし、これはオフサイドの判定。後半、数多くの決定機を作ったドリームチームはゴールが遠かった。

57分、S.C.相模原は大山に代わり井上要が、63分には森谷に代わり船越が投入される。ドリームチームも名波が下がり、福西崇史がピッチに入った。S.C.相模原は、その後も真仁田裕樹、鎗田志郎と、選手交代を敢行した。

観客が待ち望んでいたゴールが生まれたのは75分。地元S.C.相模原が、現役の意地を見せる。ゴール前のパスを齋藤がはたき、船越につなごうとすると、競り合った三木の手に当たりPKの判定に。これを船越がゴール左上へ蹴りこみ、75分、待望の先制点は生まれた。

さらに試合終盤のロスタイム、S.C.相模原は流れの中から加点する。左サイドから井上がクロスを上げると、タイミングを合わせた船越が左足を豪快に振り抜き、スコアを2-0とした。このゴールと同時に試合は終了。「さがみはらサッカーフェスタ2010」のメインイベントは、S.C.相模原の勝利に終わった。

結果云々ではなく、日本代表でプレーした面々との対戦は、Jリーグを目指すS.C.相模原にとって大きな財産となったことだろう。スピードや運動量では現役のS.C.相模原のほうが確かに上回っていた。ただ、経験や戦術眼という部分でドリームチームはやはり違いを見せつけた。上へ進めば進むだけ、直面するであろう、試合巧者との対戦に向けて、これは糧となったはずだ。またドリームチームが随所随所で見せたテンポアップ、攻撃のアイデアも、今後の参考となったことだろう。

そして、何より、こうしたイベントが相模原の地で開催されたという事実が大きい。S.C.相模原というJリーグを目指すチームが誕生したこと、相模原の政令指定都市移行というタイミングが相まって、今回の「さがみはらサッカーフェスタ」は開催に至った。7800人の観衆が足を運んだように、地域の活性化に、スポーツが担う役割が大きいことを示している。「ゼロからのスタート」というスローガンを掲げ、既存のチームを名称変更して始めるのではなく、本当に何もないところから立ち上げたS.C.相模原。Jリーグ準加盟申請を行った彼らは、そのJリーグ百年構想にある「地域に根ざした活動」を行った。創設して3年目を迎えたチームが、市や協会と協力し合い、これだけのイベントをやり遂げた。前例にもないようなことを、高い志から実行に移し、成功させてみせた。

会場に訪れた人たちは笑顔で帰路についていた。相模原の町で、まさかこのようなイベントが開催されるとは思っていなかったと驚き、そして喜び、楽しんでいた。

「ゼロ」からチームを立ち上げること、そして今回のようなイベントの開催。決して容易なことではないが、今後のモデルケースになればと思う。

原田大輔

近く訪れる未来のために

2009/10/31

S.C.相模原が神奈川県2部リーグBブロックを圧倒的な強さで優勝を決めた。同時に、来シーズンからの神奈川県1部リーグ昇格を果たした。

今シーズンは全国社会人サッカー選手権に優勝し、地域リーグ全国大会への出場を決め、そこで決勝進出を狙い、一気にJFL昇格を果たすことを目標にスタートした。しかし、全国社会人サッカー選手権関東予選では退場者を出して敗退。2連覇を狙った全国クラブチームサッカー選手権では、関東大会で優勝しながらも、全国大会の出場はチーム名が法人名と同じことから、参加資格に抵触することが判明し、全国大会への出場を取り消された。初めて参加した天皇杯予選でも敗退し、S.C.相模原にとっては、決していいシーズンではなかった。

それでも、練習試合とはいえJ1のジェフ市原・千葉、J2の湘南ベルマーレと対戦できたことは貴重な経験になったといえる。確実にレベルアップしているとはいえ、公式戦では格下相手の試合が多く、本当の実力は計りづらかった。Jクラブと練習試合をすることで、プロ相手に何が通用して何が通用しないかがわかったことは今後につながるはずだ。

では、S.C.相模原のレベルは現在、どの位置にあるのだろうか。対戦したJクラブ、JFLの関係者のほとんどが「地域リーグの1部のレベルはある」という。

つまり関東社会人リーグ1部である。

しかし、本当にそうだろうか? ベストメンバーに近く、モチベーションが高ければ自分たちの力を出し切れいる。相手がJクラブやJFLのチームなら、非常にいいサッカーを見せることができる。ところが相手が格下の県2部リーグが相手だとイージーミスを連発する。ミスをしてもボールは奪われない。ミスをしてもやり直せばシュートまで持っていける。だから非常に雑なサッカーになってしまう。その内容は、とても関東1部リーグで通用するものではない。

現状では関東2部リーグレベルであって、1部に昇格しても上位に進出するのは難しい。というのが僕の考えだ。

シンプルにツータッチ以内で華麗にボールを回す。多くのサポーター、ファンが応援に駆け付け、多くのスポンサーが付いている。それは、とても県2部リーグのクラブとは思えない。

もし来シーズン、全国社会人選手権に優勝し、地域リーグ全国大会も制することができれば、一気にJFLに昇格することができる。JFLに昇格すれば入場料を取ることが可能だ。ホームゲームではスポンサーの看板を並べることもできる。チームへの収入は増え、プロ契約する選手も増えるだろう。だが現状では、そこで大きな課題が生じるはずだ。

それは、今までは、サポーターやファンは無料で応援に駆け付けていた。ところがJFLでは入場料を払って応援にくるようになる。じゃあ、今のS.C.相模原のサッカーは「お金を払ってでも見に行きたいサッカー」だろうか?

僕にいわせてもらえば「ノー」だ。

今は勝って当たり前、しかしJFLでは勝つことさえ難しくなってくる。そういう状況でもサポーターやファンを引き付けるサッカーができるかどうかが大事になってくる。今シーズンを振り返れば、常にファンを引き付けるサッカーはできていない。

選手が毎日、どういう気持ちで試合をして練習しているのか。僕にはわからない。ファンや取り巻きにチヤホヤされても、県2部リーグの選手では、全国区では誰も名前も顔を知らない。本気でプロ選手、Jリーグ昇格を目指しているなら、例え対戦相手のレベルがどんなに低くても、常に全力を出して自分たちのサッカーを見せつけなければならない。

なぜなら「S.C.相模原のサッカーは、お金を出してでも見に行きたい」と言われる時代が、すぐそこに来ているのだから。

渡辺達也